外国人技能実習生の日本語教育

「外国人研修生」として来日する外国人に日本語を教える仕事はどのくらい需要があるのでしょうか。現在、日本の人手不足を背景に、外国人研修生の採用は拡大の傾向にあるようですから、日本語教師として働く機会も増えるのでは、と考えてしまいますよね。

最近では平成29年11月に「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」が施行されました。この法律により、実習期間がこれまでよりも長くなっただけでなく、「介護」が技能実習職種に加えられたことで話題になっています。今後ますます外国人技能実習生が増え続けることが予想されています。

この記事では、外国人技能実習生とはどんな制度なのか、また制度の問題点などについて考えていきます。さらに、外国人技能実習生に日本語を教えるにはどのような求人情報を探せばいいのかも考えていきます。

外国人技能実習生とは

外国人研修生の正式な呼称は「外国人技能実習生」で、平成5年から開始した人材育成や発展途上国への経済支援などを目的とした政策です。

外国人技能実習生には3年のビザが発給され、滞在期間は最長で5年です。現在、28万人以上が日本に外国人研修生として滞在しています。国別ではベトナムと中国が最多で、他にもフィリピンやインドネシアやタイから実習に来ています。業種では、機械、金属関係、建設関係や食品関係などの業種で働いています。

とりわけ多くの企業で人手不足が深刻な状況になっており、外国人実習生の受け入れによって現状の人材不足、人手不足の状況を打開しようと考えている企業も多いようです。

外国人技能実習生への日本語教育

実習生には、まず入国前後の一定期間、座学での日本語教育が行われます。授業では、日本語教育の他に、技能実習生に関する法的保護、日本での生活に関する知識も教えることになっています。

その後実習が始まった後は、それぞれの実習先で実習をしながら日本語を覚えていきます。実習中は、技能を指導する指導員と、生活を指導する指導員が中心になって、仕事や生活に関わる日本語を指導していきます。

企業によっては外部の日本語教師を招いて週1回日本語教育を実施しているところもあるようです。通常の業務で必要な日本語に加え、日本語能力検定の検定対策などをしている企業もあるようです。日本語の授業を週末や夜など仕事のない曜日に設定しているところもあります。

こうした日本語教育の機会を設けることで、技能実習生の日本語レベルのステップアップを図り研修中により有用な人材として現場で働けるよう育成できます。

さらに、実習生として日本にとどまり続けるためには在留資格を更新していく必要があります。そのためには、実技試験への合格だけでなく、日本語能力検定への合格も必要です。3年から5年に延長されるのは、N3レベルの日本語力が必要なようです。

外国人技能実習生受け入れの問題点

現在の日本の状況を考えると外国人実習生が貴重な労働力になっていることも確かですが、一方でこの制度にはいろいろな問題があることも指摘されています。

多くの技能実習生が月給18万円前後で働いているようです。技能実習生ではない外国人労働者が平均でも20万円前後の給与で働いている現状を考えると、技能実習生に支払われる給与は高くはなく、実習生の多くが待遇に不満を抱えやすい現状です。

しかも実習生の多くが過酷で、長時間の労働を強いられています。安全確認がしっかりととれていない環境や、不慣れな機械操作などを強いられ、中には実習生が巻き込まれる死亡事故なども多発しています。

こうした「思っていたほど稼げない」現状や、劣悪な労働環境に耐えられず、中には日本で違法な仕事に手を染めたり、失踪する実習生も少なくありません。このような状況から外国人実習制度に対し「現代の奴隷制だ」との声も上がっており、制度の改正や外国人実習生の人権を守ろうとする動きも出ています。

とはいえ、少子高齢化が進む日本では、労働力を外国人に頼る必要があるのは明白で、製造業や医療や介護の現場で、引き続き外国人実習生を採用しようとする動きは活発になっています。

さらに、外国人実習生の日本語力が不足していることで閉鎖的な社会に置かれ、地域社会などで孤立したり、詐欺や犯罪に巻き込まれやすい状況もあることから、外国人実習生の労働状況の改善は急務です。また、外国人実習生日本語力や受け入れ企業の教育体制の改善が求められています。

外国人技能実習生に日本語を教えるには?

求人関連のサイトで「外国人技能実習生 日本語教師 求人」などと入力してみると、現状ではたくさんの仕事があるようです。

業務は日本語教師だけでなく、外国人実習生の管理の仕事などが含まれる場合もあります。また、就職先も企業、日本語学校などさまざまです。

外国人技能実習生を雇う企業の多くのが、実習生の日本語教育を重要な課題ととらえており、今後もこうした分野での日本語教育にますます注目できますね。今後、この分野の需要が増えることは間違いないようです。

まとめ

今後も多くの現場で必要される外国人研修生、将来の日本にとっても欠かせない労働力になっていくでしょう。

多くの現場では現状、多くの日本語教育がボランティアなどで補われていますから、将来的に日本語教育を行うスタッフの待遇も一層改善されればいいですね。

今後は企業単位だけでなく、地域社会や自治体など、様々な機関が日本語教育への取り組みを始めていくと外国人研修生も充実した日本での生活を送れますね。