海外で日本語教師として働くには

現在、世界中で約400万人が日本語を学習しています。
日本語教師は国内だけではなく海外でも必要とされている職業です。
今回は現地の日本語学校で就職する場合のビザの条件と求人についてご紹介します。

就労ビザについて

就労ビザ発行の条件は国によって様々ですが、学歴、職歴等の条件があります。無犯罪証明書や健康診断書の提出が求められる場合も多くあります。

また、当たり前ではありますが、雇用先は自国民を優先することが多いため、日本で就職するより難易度は高くなります。
さらに就労ビザには年齢による優遇制度があります。

就労ビザの申請には雇用契約書が必要であるため、ビザ申請前に雇用契約を成立させておく必要があります。場合によっては、雇用先が決まっているにも関わらず、ビサが発行されないケースもあります。

現在、アジア圏に比べて、欧米、オセアニア、ヨーロッパでのビザ取得は難しい状況です。求人数も少なく、高い英語力も求められます。
例えば、オーストラリアでは日本語学校の需要は低く、義務教育内での日本語学習がメインとなります。それらの小中高の学校で日本語教師になるには、現地教員免許が必須です。

各国のビザについて

韓国

ビザの種類ビザの名前滞在期間の上限年齢職歴学歴月額固定給料ビザ取得難易度
語学学校講師E-2(会話指導)2年規定なし規定なし規定なし不問★★★★☆
現地企業E-5(専門職業)規定なし規定なし規定なし規定なし不問★★☆☆☆

日本語教師に関しては、韓国では比較的就労ビザが取得しやすいです。
また日本語学校での勤務になる場合、E-2ビザを取得するケースが多いです。

台湾

ビザの種類ビザの名前滞在期間の上限年齢職歴学歴月額固定給料ビザ取得難易度
 就労 招聘雇用 3年間
何度でも延長可能
 規定なし高校卒業: 5年
専門、短大: 5年
大学: 2年
規定なし 不問 ★★★☆☆
 ワーキングホリデー ワーキングホリデービザ 180日
現地で一回の延長可能
最大1年間の滞在可能
 申請時
18歳以上30歳以下
  規定なし規定なし 不問 ★★★★☆

台湾の場合はワーキングホリデービザでインターンシップ生として働くことが可能です。
就労ビザでは職歴の条件があり、学歴によって異なります。修士、博士号をお持ちの方は職歴は不要です。
また、就職先の職種と前職に高い関連性があるということが条件となっています。

中国

ビザの種類ビザの名前滞在期間の上限年齢職歴学歴月額固定給料ビザ取得難易度
 就労 Zビザ1年 規定なし 大卒以上 大卒以上 不問 ★★☆☆☆

ビザ申請条件として大学卒業以上という条件があります。比較的ビザの申請が難しいようです。

香港

ビザの種類ビザの名前滞在期間の上限年齢職歴学歴月額固定給料ビザ取得難易度
 就労
(内定必要)
 就労許可
General Employment Policy (GEP)
 2年 規定なし 規定なし大卒以上
または
専門スキル
 不問 ★★☆☆☆
 就労
(内定必要なし)
Quality Migrant Admission Scheme 2年 18歳以上 規定なし大卒以上
または
専門スキル中国語
または
英語の読み書き、会話ができる
 不問 ★★★★☆

香港では内定がない場合でも就労ビザの申請が可能です。しかし、中国語または英語で読み書き、会話できることが条件です。また、就労する場合は大学卒業以上の学歴または専門スキルが求められています。

シンガポール

ビザの種類ビザの名前滞在期間の上限年齢職歴学歴月額固定給料ビザ取得難易度
 就労 S Pass (就労ビザ) 規定なし 規定なし 規定なし専門学校、短大
もしくは
それらと
同等以上の学歴
 2,200ドル以上 ★☆☆☆☆
 就労 EP(上位の役職、専門職向け) 規定なし 規定なし 規定なし 大学卒業以上 3,600ドル以上 ★☆☆☆☆

S Passは一般的な就労ビザですが、EPは専門性が高いポジションで内定が出ていることが条件となっています。シンガポールでは現地人の採用が大幅に増加しているため、就職先を見つけるのがかなり難しい状況です。ビザ取得が可能かどうかセルフチェックできるサイトがありました。ぜひ参考にしてみてください。https://services.mom.gov.sg/sat/satservlet
*ビザ取得可能と出ても、必ずしも取得できるわけではありません。

マレーシア

ビザの種類ビザの名前滞在期間の上限年齢職歴学歴月額固定給料ビザ取得難易度
 就労 Employment PassCategory 1
(月給 RM 10,000以上)
最長5年
Category 2
(月給 RM 5,000-9,999)
最長2年
Category 3
(月給 RM 3,000-4,999)
最長12か月
 規定なし 1年以上規定なし 3,000リンギ以上 ★★☆☆☆

マレーシアではビザ全般の申請が厳しくなっていることもあり、就労ビザの取得も難しくなっています。また、台湾と同様に、就職先の職種と前職に高い関連性があることが望ましいとされています。

ベトナム

ビザの種類ビザの名前滞在期間の上限年齢職歴学歴月額固定給料ビザ取得難易度
 就労+労働許可証 LD

ワークパーミット
 最長2年 規定なし同分野で
3年以上
従事する職務に関する
分野で
大学の学士以上
または
学士と同等と
みなされる学位
 規定なし ★★☆☆☆

ベトナムでは就労ビザ以外に労働許可証(ワークパーミット)の2つが必要となります。
また、就職先の職種に関連した関する分野での学士号以上または学士と同等とみなされる学位を持っていることが条件となっています。 職歴では、3年以上の同分野での職務経験があることが条件となっています。20代は比較的ビザ取得が難しい状況です。

タイ

ビザの種類ビザの名前滞在期間の上限年齢職歴学歴月額固定給料ビザ取得難易度
 就労+労働許可証 ノンイミグラントB

ワークパーミット
 最長2年 規定なし 規定なし 規定なし 不問 ★★★☆☆

タイではベトナムと同様に就労ビザ(ノンイミグラント-B)と労働許可証(ワークパーミット)の2つが必要となります。20代の方や高卒の方は労働許可が下りない場合もあります。
求人によっては英語力を求められる場合が多いです。

インド

ビザの種類ビザの名前滞在期間の上限年齢職歴学歴月額固定給料ビザ取得難易度
 就労 Employment visa 規定なし 規定なし 不問 不問 $25,000 (US) ★★★★☆

インドは比較的ビザが取りやすく学歴や職歴も不問です。
また、他国にくらべ、日本語学校の求人だけではなくIT企業で日本語を教えるという求人も多くあります。

求人数について

求人数について比較してみました。求人サイトの求人数を元にグラフ化しました。

参照: http://job.nihonmura.jp
*2018年3月現在までの求人数

日本語学校の求人が一番多いのが、ベトナムでした。他国の2倍以上の求人数です。
ほとんどの求人が専任の募集をしていました。韓国では 多くの学校では勤務時間が朝6時から21時(そのうちの何時間か勤務)です。給与は150万₩/月程度になります。

また、上記のグラフにあるほとんどの国の求人では大学卒業以上の学歴が応募条件になっています。
中国の求人の中には、保育園や幼稚園での求人も多く見受けられます。そのため、保育園等で働いた経験や保育士資格が応募条件になっています。

就職先がビザ申請手続きを手伝ってくれる場合もありますが、自分ですべて行わなければならない場合もあります。
ビザ申請費用や健康診断費用は自己負担になる学校も多いので、事前に確認が必要です。

まとめ

求人数は日本と比べて決して多くはないですが、海外からも必要とされている職業だということがわかりました。

なお、国によってビザ取得の条件が違い、年度により法律や条約に変更があるため、海外で日本語教師として働きたいと考えている人は事前のチェックが必要です。また、ビザを申請する前に雇用契約が必要となるため、就職先に契約の段取りやビザ発行に関して確認しておくことが重要です。