日本語学校の授業スケジュールについて

いろいろ苦労して教案を作って授業に臨んでも、いざ授業が始まると生徒が思うように内容を理解できなかったり、さっき教えたばかりの内容をもう忘れている・・・ということもありますね。学習の効果にはもちろん個人差はあると分かってはいても、あまり授業の効率が良くないと、教師としてもがっかりしてしまいますよね。

では、1コマの時間をフル活用して、生徒にとっても満足度の高い授業を提供するには、どのような授業の流れで行ったらいいのでしょうか。実は、「生徒が集中力を維持できる時間」を目安に授業の時間を組み立てると、効率的な時間配分で授業を提供できるんです。

学校によっては授業の流れ等が決まっているところもありますが、この記事では私の授業の流れについてご紹介します。

授業の流れ

大まかな授業の流れについては以下をご覧ください。

1 ウォームアップ~導入(10分)「わかった」
(1~2分休憩)
2 練習(15分)「覚えた!」
(1~2分休憩)
3 アクティビティー(15分)「使えた!!」
(1分休憩)
4 まとめと復習(5分)
休憩時間 合計5分

では、それぞれのパートについて見ていきましょう。

1 ウォームアップ~導入(10分)「わかった」

まずはその日の授業の始まりに、軽く日本語雑談をしたり、前回の内容を復習したりしてウォーミングアップします。その後、その日に勉強するフレーズを導入して、「今日はこの言葉を勉強するんだな。わかったぞ」という気持ちを持ってもらいます。この部分はあくまで導入ですから、あまり時間を使い過ぎないようにコンパクトに説明するようにしましょう。

2 練習(15分)「覚えた!」

次に、その新しいフレーズを使って何度も練習します。この時間で、生徒の理解度を測る目安は生徒が導入したフレーズを「ひとまず覚えた」と感じられるようにすることです。そのためには、まずはいろいろな練習を通して目的は脳にそのフレーズを定着させ、しっかり覚えていくことが重要です。この段階ではある程度練習問題をスムーズに解いていけることが目標です。

ここまでの時間で、すでに文章題を解いたり、質問に答えたり、学んだ項目についてある程度の理解はできているはずです。しかし、日常の場面でその言葉を使えるレベルにはまだなっていません。覚えたフレーズを「使える」ようにまで記憶するためのカギは3つ目のアクティビティーです。

3 アクティビティー(15分)「使えた!!」

習ったフレーズを「覚えている」ことと「使える」ことには大きな違いがあります。多くの生徒が知っているけど話せないと感じているのは、この3つ目の段階の時間配分と練習が不足しているためです。

例えば、新しい道具を買って家に置いてあるとしても、使えるかどうかはまた別問題です。新しい道具(=新しいフレーズ)を手にした生徒が、その道具を使えるようになるためにこの3つ目の段階をしっかり行うことがどうしても必要なのです。

そのためには、生徒が興味を持てるようなアクティビティーを準備して、その日に学んだフレーズだけでなく、これまで学んだ知識をフル活用して、自由度の高い会話を楽しめるようにします。実際の場面を設定して会話してみるだけでも盛り上がりますよね。

生徒のレベルや関心事などを意識してロールプレイやアクティビティーを選びましょう。ただ盛り上がるだけのアクティビティーではあまり意味がないので、学習効果を意識して選ぶことが重要です。アクティビティーでは、なるべく教師のコントロールを少なくして、生徒が自主的にいろいろ話せるように教師はできるだけ聞き役に回り、必要に応じて訂正するようにしましょう。

この部分で生徒が「話せた!」と感じられれば授業の効果や満足度はかなり上がります。

なぜ15分ごとに区切るの?

さて、さきほどの表では授業を15分ごとの単位で組み立てています。しかも合間に休憩時間があるのにお気づきと思います。なぜ15分ごとなのでしょうか?

実は、脳のパフォーマンスを最大限に引き出すためです。

もし、1コマの授業に休憩を入れずに授業すると、50分の授業なら最も集中している時間は最初の15分程度ということになります。そうすると、後半の三分の二にあたる30分以上の時間、集中力は徐々に下降していることになります。

たしかに、生徒たちを観察していると最初の15分は顔を上げてメモを取りながら聞いてるのに、20分ぐらいを過ぎたあたりから雑談が始まったり、携帯を見始めたり、寝始めたり・・・と後半にダレてくることがよくありますよね。

とはいえ、中盤の「練習」部分が記憶の定着のためには大切な部分なので、そこで生徒の集中力が途切れてしまっていれば、授業の効果自体が低くなってしまいます。中盤で頑張って集中できていた生徒は学んだ内容が定着し、集中できていなかった生徒は理解があいまいなまま終わってしまい、満足度も低い結果になってしまいます。

生徒たちの中には一日の仕事が終わってから。授業に来ていたり、他の試験勉強などの合間に日本語を勉強している生徒もいますから、ついつい日本語の授業の時間に集中力が途切れてしまうということも理解できます。

時間配分は、教案に経過時間の合計などと一緒に書いておいてもいいですが、生徒も教師も15分単位の時間配分に慣れてくれば自然と授業のリズムが出来上がってくると思います。

「休憩(コーヒーブレイク)」の活用法

休憩時間と言っても、携帯をいじったり寝ていては意味がありません。それなりの集中力を維持している必要があります。いわば、持参した飲み物を少し飲んだりして雑談する「コーヒーブレイク」のような時間です。また、生徒に「休憩時間です」などと伝える必要はなく、あくまで自然に休憩を入れるのがコツです。

では、この1~2分の休憩時間をどのように使うのが効果的なのでしょうか。

例えば生徒と日本語で雑談してみるのはいかがでしょうか?おすすめは、これまで習ったフレーズを使って生徒に質問してみるというものです。質問内容は、なるべく生徒個人に関係のあるものがいいようです。誰でも自分個人に注意が向いたり、関心を払われればうれしいですよね。

例えば、
「〇〇さん、髪切りましたか?」
「〇〇さん、週末は何をしましたか?」
「〇〇さん、お昼は何を食べましたか?」
などと、生徒の名前を直接呼びかけて、生徒自身の生活に関係した質問をしてみるのもいいでしょう。

また、日本語教師のプライベートが少し垣間見えるエピソードを紹介してもいいですね。
「〇〇先生は先週末〇〇に行きました。皆さん行ったことありますか?」などど携帯で撮った写真を見せてもいいでしょう。

雑談で盛り上がり過ぎてしまうと時間配分がくるってしまいますので、ポイントは一言二言で終わる雑談にすることです。授業に関係した質問が生徒から上がることもありますので、なるべくこの休憩時間に受け付けるようにします。ただし、やや込み入っている質問の場合は休憩の意味がなくなってしまうため、授業が終わる最後の部分でまとめて答えることもできます。

「まとめと復習」の行い方

こうして集中力を維持して45分ほどの授業をした後は、まとめの時間で必ず学んだ内容の復習を行いましょう。その日に導入した文型の復習を、絵カードや写真を使ってしてもいいでしょう。また、生徒に自由に作文してもらったり、ロールプレイをしてもいいでしょう。

生徒一人一人が、「今日はこのフレーズを使えるようになった!」という気持ちを持ったまま授業を終わるのが、1コマの授業の最終目標です。それがそのまま授業への満足度につながります。

いわば、「その日に買ったばかりの道具」がこのプロセスを通じて、ようやく「必要に応じて、自由に取り出して使うことができる使いやすい道具」になるのです。

まとめ

生徒一人一人の集中力に個人差があるのは確かですが、できればすべての生徒にとって満足度の高い授業を提供したいですね。

そのためにはまずは教師が「15分単位」を意識して、生徒の集中力を維持しながら授業の流れをコントロールすることが重要です。そうすれば、きっと先生も生徒も満足度の高い授業を提供できること間違いなしです!