日本語教師とAI(人工知能)

昨今ではどの業界でもAIの進出がすさまじく、全ての仕事がなくなってしまうのではないかという恐怖を持つ人も多いようです。しかし、機械ができる仕事と人間にしかできない仕事には違いがあると考えられており、今後技術が発展しても全ての仕事はなくなるわけではないと予測されています。では、日本語教師はどうなるのでしょうか。

AIで代替が可能か

株式会社野村総合研究所の研究によると日本の労働人口の約49%が、AIやロボット等で代替可能になると言われています。AIやロボットで代替が可能とされている職業は製造業や事務仕事等が挙げられます。受付業務も含め機械化されている傾向がみられます。反対にクリエイティブ性が高い職業や人との関わることが多い職業ではAI等での代替が難しいと言われています。その中には日本語教師も含まれています。

参照元:株式会社野村総合研究所 日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に
https://www.nri.com/jp/news/2015/151202_1.aspx

教育現場でのAIの活用

教育現場では急速にIT化が進み、学校でも多くAIやタブレットを使用した授業が増えてきています。日本語教育現場では紙ベースでの仕事が多く見られましたが、最近ではIT化が進んでいます。教材や授業、学生管理等では機械化が進んでいますが、全ての業務をAIやIT化を進めることは難しいのが現状です。
特に日本語教育の現場では生徒数や国籍、日本語レベルといったようにクラスによって授業を調整していくことが必要となってきます。クラスや一人ひとりの生徒の様子をみながら授業の細かな調整をしていかなくてはいけません。

今後日本語教師に求められること

AIやITと連携しながら働く

人が考えていることを察するという能力はAIや機械が行うのは難しく、人間同士のやり取りの中から得られる情報になるでしょう。こういった部分は人間でも十分な能力を得ることが難しいので常に教師として授業の振り返りが必要です。こういった曖昧な部分が人間らしさに繋がっており、機能だけを見れば機械で十分に足りているようなことでも、どんなに優秀な教材があったとしても、それを学ぶためにはやる気を引き出すことや集中できる環境作りが必要となってきます。今後はAIや機械と連携しながら仕事を進めていくことが多くなると考えられます。連携していくことで仕事の効率性が上がり、授業準備等や学生と関われる時間を増やすことも可能になってくることでしょう。その中で教師のITやパソコンスキルを求められることが多くなるでしょう。

学生のサポート

教師は生徒との関わりは人間でなくてはできない仕事です。これは日本語教師だけではなく、教育に関わる場面で共通していることです。
日本語教師は言葉が不自由な中で生活をしている生徒と出会う機会が多くあります。日本語教師の仕事には色々なものがありますが、日本での生活に苦労をしている人が生徒になるということもあるでしょう。そういった時にはただ日本語を教えるだけではなく、生徒がいま困っていることをできるだけ早く解消するような働きかけも必要です。日本語教師は特に生徒のバックグランドや環境等が大きく違うために仕事の中でも特に学生のサポートや人間味が必要となる仕事です。

まとめ

これから技術が進歩していくと、さらにAIが教育現場に導入されていくでしょう。今後はAIや機械が行う仕事と日本語教師が行う仕事の棲み分けが重要となってきます。IT、AIと連携していくことで学習者に質の高い授業やサポートを提供できることでしょう。その上で日本語教師は今後さらに教師としての自分の強みやスキル向上が求められことでしょう。